漱石山房記念館 建設工事
本建物は地上2階地下1階であり、長辺約42m、短辺約11mの長方形の平面構成をとっている。構造種別は施主の要望であった鉄筋コンクリート造を基本としつつ、上階の柱の一部、2階と屋根の梁の一部を鉄骨造とし、屋根の梁の一部を鉄骨鉄筋コンクリート造とした。
- 竣工年 | 2017年
- 階数 | 地上2階・地下1階
- 延床面積| 1297㎡
- 構造種別| RC造(一部S造・SRC造)
- 受注先 | DFIフォルムデザイン一央株式会社
- 資料提供| ー
・ べた基礎により支持された地上2階地下1階建のRC造一部鉄骨造の建築物である。。
・ 耐震・耐風に対する建物の抵抗形式はRC耐震壁付きラーメン構造とする。
・ RCの耐震要素はほぼ全て壁厚250~350mmの耐震壁である。
・ 一部水平地震力を負担しないピン柱である丸柱を採用している。耐震壁の直下にあり変動軸力を受ける鉄骨柱は埋め込み柱脚柱頭としている。地震時の変動軸力をあまり受けない鉄骨柱は露出柱脚としている。
・ B1階床、1階床についてはRC梁、在来RCスラブで構成している。2階床面についてはRC梁の中に一部鉄骨梁を混在させスラブは合成デッキスラブにより構成している。山上厚は遮音性を考慮し100mmとしている。
・ 屋根は耐震壁の壁頭のみRC梁とSRC梁とし、その他については鉄骨梁とSRC梁とを混合している。スパンが大きく応力が大きい梁をSRC梁としている。スラブは在来RCスラブとする。
・ 2階のスラブと耐震要素となるRC耐震壁との接合は壁からスラブへの差し筋で確保する。2階スラブと耐震壁との間に鉄骨梁を介する場合はスラブと鉄骨梁同士頭付きスタッドで、鉄骨梁と耐震壁同士アンカーボルトにより接合する。
・ ほぼ100パーセント近く耐震壁が地震力を負担している。各階同士の剛性のバランスは良いが平面的には耐震壁が偏在している階がある。
・ 公園ファサード側のRC階段兼スロープについてはマリオンを兼ねた柱によりスラブの片側を屋根の鉄骨から吊る構造としている。
・ 南側の2階の展示室の床についても外壁側の柱により屋根の鉄骨から吊る構造としている。この部分の柱梁は長期荷重に対して耐力を確保するため剛接合としており、厳密には←→方向の地震力を少し負担してしまうが、該当部の低いレベルの乾式屋根の地震力は高いレベルのRC屋根へほとんど流れるとみなせるので問題ない。
・ 南側の床を構成する鉄骨柱梁については一部柱梁パネルをウェブ厚を増やすことで補強している。
・ 耐震壁の開口補強は短期の存在応力ではなく安全側に短期許容せん断力に対して開口補強筋を決定している。
・ 基礎は、敷地内で行われた2箇所の地盤調査結果を基に、GL-1.0m~3mに分布するローム層、GL-7mに分布する細砂層を支持地盤とし、直接基礎(べた基礎)で計画した。建物本体の大部分の基礎底は凝灰質粘土層であるが地耐力がやや足りないので3m程柱状改良し柱状改良下端を細砂層とした。
・ 偏土圧が作用するので土圧による接地圧の増減を考慮して接地圧を算出している。
・ ドライエリアや外部物置、外部トイレは建物本体よりも約1~2m程基礎レベルが高く丁度良好なローム層が基礎直下となるので、該当部については地盤改良は行わない。外部物置直下のみ基礎下がややローム層に達しないので捨てコンを厚くすることでローム層に達している。
建築家入江正之氏の思いでもある「街並み」が記念館であるというコンセプトを反映し、ファサードとなる周辺環境を、記念館内部から眺められるように、長手方向2面の多くを開口部とした構成をとっている。
これらの視認性に優れる開口部からは、施設内部に再現された山房や展示室を街並み側からも眺めることが可能となっている。
そのほかの事例
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資料提供| ー
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