昭和こども園
本建物は地下1階地上3階建てで、1階の約50m×40mの長方形平面の鉄筋コンクリート造のボリュームの上に約50m×20mの鉄骨造の2層のボリュームが配置される構造となっている。 鉄筋コンクリート造の1階は柱と耐震壁を同厚とする耐震壁付きラーメン構造により計画した。 平面構成上必要な諸室の間仕切り部分をそのまま耐震壁とすることで、計画上の流動性を極力阻害しない方針とした。
- 竣工年 | 2016年
- 階数 | 地上3階・地下1階
- 延床面積| 2914㎡
- 構造種別| RC造(一部S造)
- 受注先 | 納谷建築設計事務所
- 資料提供| ー
・べた基礎により支持された地上3階地下1階建のRC造一部鉄骨造の建築物である。
・地下1階、1階をRC造、2階、3階を鉄骨造とする。 RCの耐震要素はほぼ全て壁厚300~350mmの耐震壁である。
・鉄骨のブレースはH型鋼とし、一部両面にカバープレートをつけたボックス形状としている。耐震要素となる鉄骨柱は全てH型鋼で、X方向は弱軸の方向で剛接架構を形成している。
・一部地震力を負担しないピン柱である丸柱を採用している。
・鉄骨柱脚は、地震力を負担するH型柱は埋め込み柱脚とし、地震力を負担しないピン柱は露出柱脚としている。
・また鉄骨柱とRC躯体との境界である2階床面については、鉄骨柱間に鉄骨梁を流している。2階レベルのY方向の鉄骨梁については、ブレースから流れる軸力を躯体へ伝達させる役割を果たしており、X方向のRC内の鉄骨梁については、柱脚の曲げモーメントを負担する役割を果たしている。
・X方向地震時において、靭性に配慮し2階の鉄骨柱の柱脚にヒンジができるようにするため鉄骨柱の耐力よりも鉄骨梁の耐力が上回るようにした。鉄骨柱に対して梁が片側にしかとりつかないL型接合部については、鉄骨柱の下部のみあえてフランジ厚を小さくすることで柱脚にヒンジができるようにした。
・B1階、1階、2階の床の構成は現場打ちコンクリートスラブとし、鉄骨造範囲である3階、屋根については合成デッキスラブとする。
・既存校舎との接合部における渡り廊下の半分を既存校舎に支持させている。鉛直荷重は既存校舎にある程度負担させるが、ローラー支承とすることで、水平力は既存躯体に負担させることなく本体が全て負担することとする。
・3階と屋根は既存の校舎と一部繋がっており、エキスパンションジョイントで縁を切っている。ただし3階については、渡り廊下の一部の鉛直荷重を既存躯体へ負担させる。
・一部鉄骨柱の座屈長を短くするため、基礎梁から立ち上がりを設けてその上に柱を置いている。
・耐震・耐風に対する建物の抵抗形式はB1階、1階については耐震壁付きラーメン構造、鉄骨造の2階3階は東西に抜けを確保した意匠計画に配慮して長辺方向は純ラーメン構造、2階3階短辺方向はブレース付きラーメン構造とした。
2階3階の短辺方向は、ブレースが地震力の9割以上を負担する架構特性を有している。このためブレースが負担する過大な水平力を、直下のRC躯体へとスムーズに伝達させるため、ブレース構面の2階床レベルには、RC梁の直上に鉄骨梁H-250×250×9×14を配し、鉄骨梁とRC梁同士は頭付きスタッドにより堅結することで、1階の鉄筋コンクリート造耐震壁へせん断力を伝達させる納まりとした。
またブレースの枠柱直下には、鉄骨平鋼を1階のRC柱内へ配置し、鉄骨架構から鉄筋コンクリート架構へと付加軸力を伝達する構成としている。2階3階の長辺方向は、鉄骨純ラーメンにおける柱脚の剛性と耐力確保が重要であったので、鉄筋コンクリート造である2階床梁内に鉄骨梁を埋設し、鉄骨柱と剛接合することで解決を図った。
その上で鉄骨架構の負担応力がスムーズに下階コンクリート架構へ伝達されるように配筋を含めた納まりを工夫した。
そのほかの事例
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資料提供| ー
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